「お聞きになる」と「拝聴する」の違いとは?
ビジネスでの使い方や例文などを交えながら、分かりやすく解説していきます。
「お聞きになる」とは?
「お聞きになる」は、「聞く」という行為を敬語で表現した場合の言葉です。
これは、相手に対する敬意を示すもので、相手の行動に対して使われます。
「聞く」を敬語表現する場合、他にも「聞かれる」という言い方もできます。
しかし、これは受動表現と誤認しやすいデメリットがあります。
そのため、「聞く」を敬語表現する場合は、「お聞きになる」を使用したほうが、分かりやすく間違いがないと言えるでしょう。
「拝聴する」とは?
「拝聴する」も、「聞く」を意味する言葉です。
しかし、これは謙譲語表現したものです。
「お聞きになる」が相手の行動に敬意を示すのに対して、「拝聴する」は自分の行動を低めるものです。
自分の行動を低めることで、間接的に相手に対する敬意を示す言葉なのです。
謙譲表現で「聞く」を表す場合、より一般的なものとして「うかがう」があります。
そして、「うかがう」と「拝聴する」であれば、「拝聴する」のほうがより敬語の程度が高い、丁寧な言葉として扱われています。
「お聞きになる」と「拝聴する」の違い
それでは「お聞きになる」と「拝聴する」には、どのような違いがあるのでしょう。
どちらも「聞く」を意味する敬語であるという点では同じです。
しかし、「お聞きになる」は敬語表現です。
そして、「拝聴する」は謙譲語表現なのです。
つまり、敬意を示す対象が同じでも、「聞く」という行動の主体が、相手にあるか、自分にあるかの、違いがあるのです。
特に謙譲語は、いっけんすると丁寧な言葉なので、誤って相手に使ってしまうことが多いものです。
そうならないためにも、敬語と謙譲語の違いを正しく認識し、定められたルールのもとで使い分ける必要があるのです。
「お聞きになる」の例文
ここでは「お聞きになる」の例文を挙げていきます。
「聞く」の行動主体が相手にある場合に、「お聞きになる」を使うとよいでしょう。
・『説明をお聞きになるのがよろしいかと存じます』
・『お聞きになるまでもないものです』
・『お聞きになるのが分かりやすいでしょう』
・『お聞きになるとは思いませんでした』
「拝聴する」の例文
ここでは「拝聴する」の例文を挙げていきます。
「聞く」の行動主体が自分にある場合は、「拝聴する」を使うとよいでしょう。
・『本日は、お話を拝聴するために参りました』
・『私も拝聴することを希望いたします』
・『ご講義を拝聴するにはどうすればよいでしょうか』
・『私には拝聴する権利がないと思われます』
まとめ
このように「お聞きになる」と「拝聴する」は、どちらも「聞く」を意味します。
しかし、同じ「聞く」でも、相手が聞くのか、自分が聞くのかにより、言葉を使い分ける必要があるのです。
そして、相手が聞く場合は「お聞きになる」であり、自分が聞く場合は「拝聴する」を使用するのがよいでしょう。