「お与えになる」と「差し上げる」の違いとは?
ビジネスでの使い方や例文など分かりやすく解説していきます。
「お与えになる」とは?
「お与えになる」は「与える」を尊敬語にしてものです。
たとえば上司が、誰かに記念品を与える予定だったとします。
このような場合に、立場的に下に位置するあなたが、「上司が記念品を与える」と表現すると、失礼になります。
このような場合には、相手を敬って「上司が記念品をお与えになる」と表現するとよいでしょう。
これにより、目上の人の行動を、敬意を含んだ形で表現できるのです。
「差し上げる」とは?
「差し上げる」も「与える」を意味する言葉です。
しかしこれは、尊敬語ではなく謙譲語で表現したものです。
下の立場の者から、上の立場の者に何かを渡す時に、「与える」という動詞は使用しません。
このような場合に、「差し上げる」というへりくだった表現を使用するのです。
また、この言葉には拡張した使い方があります。
それは何かを「してあげる」ことを示して、「して差し上げる」と使えるのです。
たとえば、「代行してあげる」を言い換えて、「代行して差し上げる」と使用できます。
「お与えになる」と「差し上げる」の違い
それでは「お与えになる」と「差し上げる」の違いは何でしょうか。
いずれも「与える」を意味します。
しかし、相手から自分にもらう場合には「お与えになる」を使い、自分から相手に渡す場合には「差し上げる」を使うのです。
これは、敬語の動作主体が誰かによって、どの敬語表現を採用しているかが変化するという事です。
言い換えれば、「お与えになる」は相手を示して尊敬する言葉であり、「差し上げる」は自分を示してへりくだる言葉なのです。
「お与えになる」の例文
それでは、「お与えになる」の例文にはどのようなものがあるでしょうか。
「お与えになる」が、相手を尊敬する言葉だと意識して使うと、分かりやすいはずです。
・『金品をお与えになるは、いかがなものかと存じます』
・『記念品をお与えになるだけの成果があるのでしょう』
・『彼にMVPをお与えになるとは思いませんでした』
・『何かお与えになるとよいでしょう』
「差し上げる」の例文
つぎに、「差し上げる」の例文にはどのようなものがあるでしょうか。
「差し上げる」が、自分をへりくだって言葉だと意識して使うと、分かりやすいはずです。
・『私の資料を差し上げることにします』
・『ご連絡差し上げるようにします』
・『このような品を差し上げるのは心苦しいのですが』
・『御礼を差し上げるべき状況でございます』
まとめ
このように「お与えになる」と「差し上げる」は敬語の動作主体によって使い分けるべき言葉と言えます。
相手が動作主体の場合には「お与えになる」を使い、自分が動作主体の場合には「差し上げる」を使うべきなのです。
同じ「与える」を意味する言葉ですが、注意して言葉を選択するべきなのです。