「おっしゃる」と「申す」の違いとは?
使い方や例文などを交えて分かりやすく解説していきます。
「おっしゃる」とは?
「おっしゃる」は、敬語で「言う」を表現した言葉です。
そのため、動作している人物に対して、敬意を示す効果があります。
たとえば、相手の発言を引用して「おっしゃる通り~ですが」と使用します。
この場合は、発言した相手に対して敬意を示せるのです。
また、「おっしゃる」は漢字で「仰る」と記載することもあります。
しかし、ビジネスで使用する場合は、より印象の柔らかい「おっしゃる」を採用するのが一般的だと言えるでしょう。
「申す」とは?
「申す」は、「言う」の謙譲語です。
「言う」をへりくだって表現したのが「申す」なのです。
謙譲表現は、自分を低くして相手に譲る気持ちを表すものです。
そのため、婉曲的な敬語表現と言い換えることもできるでしょう。
また、謙譲語は、敬語の中でも特に注意が必要です。
それは、自分の行動に対して使用するというルールがあるためです。
たとえば自分の発言を示して「先ほど申しました」と使うのは正しい使い方です。
しかし、「先ほど申された」のように、相手の発言を示して「申す」と使用するのは誤りになります。
これでは、相手の行動を低める表現になってしまうのです。
「おっしゃる」と「申す」の違い
それでは、「おっしゃる」と「申す」の違いはどこにあるのでしょう。
どちらも「言う」の敬語表現である点では同じと言えます。
しかし、「おっしゃる」は敬語表現であり、相手を高めるために使用する言葉です。
これに対して「申す」は謙譲表現であり、自分を低めることで間接的に相手を高めるように使用します。
このことから、「おっしゃる」と「申す」が同じ意味を持つものの、使い方には注意が必要なことが分かるのではないでしょう。
「おっしゃる」の例文
ここでは「おっしゃる」の例文を挙げていきます。
「おっしゃる」が、相手に「言う」という行動に敬意を示すものだということに、注意して使うとよいでしょう。
・『おっしゃる通りでございます』
・『おっしゃるまでもなく、存じ上げております』
・『おっしゃるのは、ごもっともかと思います』
・『おっしゃるには、それなりに理由があるようです』
「申す」の例文
ここでは「申す」の例文を挙げていきます。
「申す」が、自分の「言う」をへりくだって表現する言葉だということに、注意して使うとよいでしょう。
・『私から申すのは大変恐縮ですが』
・『私が申すまでもなく周知の事実かと存じます』
・『私が申す意見などは、お聞き流しください』
・『これから私が申すのは、会議の段取りについてです』
まとめ
「おっしゃる」と「申す」は、どちらも「言う」を意味する言葉です。
ただし、「おっしゃる」は敬語表現で、「申す」は謙譲表現だとの違いがあります。
「言う」の動作主体が誰かによって、適切なほうを選択して使い分ける必要があるのです。