この記事では「恐れ多い」と「畏れ多い」の言葉の違いについて、その意味の違いや使い方など、分かりやすく説明します。
「恐れ多い」とは?
「恐れ多い」とは、「相手に対して失礼だとか、自分にはもったいないこと」を意味する形容詞です。
「恐れ多い」の使い方
「恐れ多い」の言葉は、以下の例文のように使われます。
・『課長や部長にお茶を入れてもらうなんて、平社員の私には恐れ多いことです』
・『若い社員は社長に対しても、恐れ多いと言う感情はないようです。正に現代っ子の特徴ですね』
・『課長である私が、部下達から恐れ多いとの態度や振る舞いを受けたことはありません』
「畏れ多い」とは?
「畏れ多い」とは、「身分の高い人に対して失礼であることや、自分の身に過ぎた厚意を受けて、もったいないと、恐縮すること」を意味する言葉で、形容詞です。
基本的に意味は「恐れ多い」と同じすが、「畏れ」の字には、神仏や年長者に対しての慎みの意味がより深いと言えます。
「畏れ多い」の使い方
「畏れ多い」の言葉は、以下の例文のように使われます。
・『あの伝説の大先生から直接指導を受けることは、本当に畏れ多いことです』
・『天皇、皇后両陛下のご臨席を賜るなど、誠に畏れ多いことで、身が引き締まります』
・『ノーベル賞を受賞した教授から、講演をしていただけることは、誠に畏れ多いことと言えます』
「恐れ多い」と「畏れ多い」の違い
「恐れ多い」と「畏れ多い」の言葉は、いずれも「おそれおおい」と読み、辞書で調べると、同じ項目として漢字が併記されている例が多いと言えます。
従って、現在ではいずれの言葉も、同じ意味で使われており、違いはないと言えます。
しかし、「畏れ」の言葉の古くからの意味合いとして、神仏や年長者に対する、慎みやはばかりと言ったものがああることから、身分の高い人や、尊敬する年長者に対して使う場合には、「恐れ多い」よりも「畏れ多い」の方がふさわしとされています。
「恐れ」は「恐縮する」意味合いが強く、「畏れ」の方には、「恐縮する」にプラスして「畏敬」のニュアンスが含まれていると考えれば、二つの言葉の微妙なニュアンスの違いが理解し易いかも知れません。
いずれにしても、上記のニュアンスの違いから、実際にビジネス用語としては、「畏れ多い」が比較的よく使われており、こちらの漢字を使った方が無難と言るでしょう。
まとめ
「恐れ多い」と「畏れ多い」は、いずれも読みが同じ「おそれおおい」です。
また、多くの辞書には、「恐れ多い/畏れ多い」と漢字が併記されており、いずれも同じ「相手に対して失礼だとか、自分にはもったいないこと」の意味とされています。
従って、ビジネスの場においても、いずれを使っても間違いではありませんが、より慎みや敬意のニュアンスが強い「畏れ多い」の方がよく使われており、こちらの漢字を使う方が無難と言えます。