「所用」と「私用」は読み方も意味もよく似ていますが、どのような違いがあるのでしょうか。
「所用」とは?
「所用」【しょよう】は「用事」や「用件」の改まった表現です。
漢字の「所」は動作、「用」はなすべき仕事という意味を持っています。
そして、これらを組み合わせた「所用」は、しなければならない何らかの仕事や行動を表します。
内容に関わらず「なすべき仕事」を抽象的に表したのが「用事」や「用件」であり、さらにかしこまった言い回しをしているのが「所用」ということになります。
「所用」の使い方
「所用」は、用事や用件のかしこまった言い回しになります。
ですから、プライベートならば「ちょっとその日は用事があって」と相手に伝えるところを、ビジネスシーンでは「あいにくその日は所用がありまして」と丁寧な言い方をする形が適切です。
用事の内容までは詳しく言わないで、用事の種類にかかわらず「所用」と一言で表現します。
つまり、仕事上の用件であろうが個人的な用事であろうが「所用」と言うことができます。
自身の用事でも他人の用事についてでも、また、相手が目上、目下のどちらでも「所用」という言葉をそのまま使って失礼にはあたりません。
「私用」とは?
「私用」【しよう】とは、個人的な用事のことです。
漢字の「私」は自分、一個人のことを、「用」はなすべき事柄という意味を持っています。
これらを組み合わせた「私用」は「自己都合で生じた用事」を表す言葉になっています。
「私用」の対義語は「公用」【こうよう】です。
「公用」は公共団体や会社のための用事を指しているので、その反対にあたる「私用」は会社や仕事には一切関係ない用事を指すことになります。
「私用」の使い方
「私用」は、ビジネスシーンにおいて席を外すとき、その理由が「会社や仕事に関係ない用事を済ますため」であることを伝えるために使います。
「私用」には通院、買物、雑用などが挙げられますが、ビジネスシーンでは一個人の具体的な用件まで知らせる必要まではありません。
どのような用事であれ「私用で休みを取らせていただいております」のように、個人的な用事で不在になっている旨だけを伝えておけばよいのです。
「所用」と「私用」の違い
「所用」と「私用」はどちらも用事を指しますがニュアンスが異なります。
「所用」はあらゆる用事、「私用」は自己の都合で生じた用事を指します。
ビジネスシーンでは、個人的な用事を「私用」と言って問題ありませんが、不在の理由が仕事以外の用事であることが言いづらい場合は「所用」と言うこともできます。
なお「しょよう」と「しよう」は音が非常に似ているので、口頭で伝える場合は区別してはっきり発音することが大切です。
まとめ
「所用」はあらゆる用事を指し、「私用」は個人的な用事だけを指しているところが異なります。
どちらもビジネスシーンでよく使う言葉なので、使い分け方を覚えておきましょう。