この記事では、ビジネスシーンでもしばしば使われる言葉の「お行きになる」と「いらっしゃる」について、その違い等を使用例を交えて分かりやすく説明します。
「お行きになる」とは?
「お行きになる」は「行く」尊敬語で敬語表現です。
この敬語表現は、動詞を「お~なる」の言葉で挟むことで尊敬語とする定型パターンによる表現です。
従って、目上の人が「行く」ことを表現する場合に使っても、文法的には間違いではありません。
しかし、この「お行きになる」は語呂が悪く、何となく聞く人に違和感を与えることが少なくないため、ビジネスシーンでは使われることが少ないと言えます。
「お行きになる」の使い方
・『課長は明日から1週間、アメリカ出張にお行きになる予です』
・『部長はすでに得意先にお行きになられています』
・『得意先回りにお行きなる前で申し訳ありませんが、この書類を一読願えないでしょうか』
「いらっしゃる」とは?
「いらっしゃる」は、「行く」と「来る」と「居る」と言う3つの言葉の尊敬語表現です。
従って、「行く」の敬語表現としても使われる言葉です。
この3つの使われ方がある「いらっしゃる」は、前後の文章から、どの意味で使われているかを推定する必要がある点が少し厄介と言えます。
「いらっしゃる」の使い方
「いらっしゃる」の「行く」、「来る」、「居る」の3つの敬語として使われる例を以下に示します。
・『部長はすでに取引先にいらっしゃいました』
・『バーゲンせ―ルには、多くのお客様がいらっしゃいました』
・『課長は海外出張のため、この1週間は会社にいらっしゃいません』
「お行きになる」と「いらっしゃる」の違い
「お行きになる」と「いらっしゃる」は、いずれも「行く」の尊敬語として使われる言葉です。
「行く」の尊敬語には、その他に「行かれる」と言う表現もあります。
一般的に尊敬語として使われる言葉には、3つのパターがあります。
一つ目は、その言葉の独特の尊敬語としての言い方があるパターンで、「いらっしゃる」がこれに当たります。
二つ目は、先にも記載した動詞を「お~なる」という尊敬語の型にあてはめるので、「お行きになる」が、これに当たります。
そして三つ目が、「~れる」と言う尊敬語の型にあてはめる方法で、「行かれる」が、これに当たります。
いずれも「行く」の尊敬語表現ですが、敬意を強く表す順としては、「いらっしゃる」>「お行きになる」>「行かれる」です。
先にも記載した様に、「お行きになる」は余り使われない言葉です。
従って、ビジネスシーンでは先輩等の目上でも親しい人に対しては「行かれる」を使い、取引先の人や、普段接することの少ない目上の人に対しては、「いらっしゃる」と使い分けるのが良いでしょう。
まとめ
「お行きになる」と「いらっしゃる」は、いずれも「行く」の尊敬語として使われる言葉です。
しかし、「お行きになる」は文法的には「行く」の正しい敬語表現ですが、一般的は使われることが少ない言葉です。