この記事では「お越しいただく」と「お越しくださる」の違いについて、使い方等を含めて分かりやすく説明します。
「お越しいただく」とは?
「お越しいただく」の言葉の「お越し」は、「越す」の連用形を名詞化した言葉で、意味としては「来ることや、行くこと」を指す「越し」の敬語表現です。
また「お」は「越し」に付けられた接頭辞で、これも敬語表現です。
従っ「お越し」は「来ることや、行くこと」を意味する敬語表現となります。
一方、「いただく」は「(自分が)もらう」の謙譲語です。
従って「お越しいただく」は自分がお願いして「来てもらうこと」を意味する敬語表現です。
主語は、自分となります。
「お越しいただく」の使い方
「お越しいただく」は以下の例文のように使われます。
・『取引先の方に、工場見学を兼ねて当社にお越しいただくようにお願いしました』
・『開業10周年記念式典にに、お越しいただくように、お願い申し上げます』
・『あの有名な科学者に、講演会にお越しいただくようにお願いし、快く受けていただけました』
「お越しくださる」とは?
「お越しくださる」は前項で記載した内容の「お越し」に「くださる」が続く慣用句です。
ここで使われている「くださる」は、「(相手が)くれる」の尊敬語です。
従って、「お越しくださる」は相手が「来てくれること」を意味する敬語表現で、この場合の主語は相手となります。
「お越しくださる」の使い方
「お越しくださる」は、以下の例文のように使われます。
・『取引先の方が、工場見学もしたいと、当社にお越しくださることになりました』
・『多くの方が、当社の開業10周年記念式典にお越し下さる予定です』
・『お願いしていた有名な科学者の方が、講演会にお越しくださるとの返事をいただいきました』
「お越しいただく」と「お越しくださる」の違い
「お越しいただく」と「お越しくださる」は、いずれも相手が「来ること」を意味する敬語表現で、同じ意味で使われる慣用句です。
二つの慣用句の違いは、「お越しいただく」は主語が自分で、「もらう」の謙譲語の「いただく」を付けて構成しているのに対し、「お越しくださる」は主語が相手で、「くれる」の尊敬語の「くださる」を付けて構成されている点です。
いずれも、敬語表現で、いずれを使っても同じ意味になりますが、主語が誰かを考え、正しい使い方をすることが大切です。
上手に使い分ける自信がなければ、「お越しくださる」よりも使われることが多い、「お越しいただく」の方を間違わずに使う習慣を付けるのが良いと言えるかも知れません。
まとめ
「お越しいただく」は「お越し」+「(もらうの謙譲語の)いただく」で構成された慣用句で、主語は自分です。
一方の「お越しくださる」は「お越し」+「(くれるの尊敬語の)くださる」で構成された慣用句で。
主語は相手です。
意味はいずれも相手が「来ること」を意味する敬語表現です。
正しい使い分けに自信がなければ、より使われることが多い、「お越しいただく」の方を、誤用せずに使う習慣を付けるのが良いと言えるでしょう。