「拝読いたしました」と「拝読するのが楽しみです」の違いとは?
ビジネスでの使い方や例文など分かりやすく解説していきます。
「拝読いたしました」とは?
「拝読」は「読む」をへりくだって表現したものです。
「拝」という言葉に、「おがむ、ありがたがる」という意味があります。
そのため、動詞を示す漢字と組み合わせることで、謙譲語の熟語を作れるのです。
たとえば、「拝読」、「拝謁」、「拝見」などがあります。
また、「いたす」は「する」を意味する謙譲語です。
これを過去形にすると「いたした」になります。
これに丁寧語の語尾「ます」を付与して「いたしました」とできます。
これらのことから、「拝読いたしました」は「読んだ」と同じ意味だと言えるのです。
「拝読するのが楽しみです」とは?
「拝読するのが楽しみです」でも、「拝読」の意味は同じです。
同じく、「見る」を謙譲表現した使い方だと言えます。
ここでは、「拝読するのが楽しみです」としているため、「読むのが楽しみ」という内容を、謙譲語と丁寧語を組わせて表現しています。
これは、「楽しみです」としていることから、まだ読んでいないことを表します。
未来に対する期待の気持ちを、謙譲語とは少々バランスの悪い「楽しみです」というカジュアルな表現で示しているのです。
「拝読いたしました」と「拝読するのが楽しみです」の違い
それでは「拝読いたしました」と「拝読するのが楽しみです」の違いは何でしょうか。
どちらも謙譲表現になっている点では同じと言えます。
しかし、示している状態が異なるのです。
「拝読いたしました」を平易に言い換えると「読んだ」です。
そして、「拝読するのが楽しみです」は「読むのが楽しみ」です。
つまり、極限までシンプルに言えば、既読と未読の違いがあるのです。
さらに、前者は事実のみが述べられているのに対して、後者は自分の感情を示したものとの違いもあります。
「拝読いたしました」の例文
ここでは「拝読いたしました」の例文を挙げていきます。
・『資料は昨日、拝読いたしました』
・『頂戴したお手紙は、既に拝読いたしました』
・『来期の計画は、皆で拝読いたしました』
・『しっかりと拝読いたしました』
「拝読するのが楽しみです」の例文
ここでは「拝読するのが楽しみです」の例文を挙げていきます。
・『完成した物語を、拝読するのが楽しみです』
・『未発表の文章を、拝読するのが楽しみです』
・『貴社の発表を、拝読するのが楽しみです』
・『貴殿の資料を、拝読するのが楽しみです』
まとめ
このように「拝読いたしました」と「拝読するのが楽しみです」は、どちらも「拝読」という謙譲表現が使用されています。
しかし、二つの言葉には既読と未読の違いがあります。
また、述べている内容も、事実と感情で異なります。
二つの言葉は、同じ「拝読」を使ったまったく別のものだととらえたほうがよいでしょう。