この記事では慣用的に使われる言葉である「ないです」と「ございません」について、その違い等を分かりやすく説明します。
「ないです」とは?
「ないです」は、「物や事柄が存在しないこと」や、「自分の考えでは有り得ないこと」を意味する慣用句です。
この言葉は、先に記した2つの意味を持つ形容詞の「ない」に、丁寧な意味を表す助動詞の「です」が付いて形成されている言葉で、「ないこと」を指す丁寧な表現です。
助動詞は、本来は動詞に付くべき言葉ですが、形容詞である「ない」に付けることも認められています。
従って「ないです」は一般的によく使われる少し丁寧な言葉で、「ありません」と同じ意味を持つ言葉です。
「ないです」の使い方
「ないです」の言葉は、以下の例文のように、使われます。
・『今朝は寝坊したので、いつもの弁当を作る時間がなく、今日の昼食の弁当はないです』
・『あなたが主張する強引なやり方は、多くの人の納得を無視したもので、私の考え方にはないです』
・『販売開始して1日で、用意した新製品が売り切れてしまい、現在は品物は全くないです』
「ございません」とは?
「ございません」とは、「ございます」の否定形で、「ございます」は「ある」の丁寧語です。
従って「ございません」は「ありません」の敬語表現と言えます。
「ございません」の使い方
「ございません」の言葉は、以下の例文のように使われます。
・『お客様から問い合わせいただいた使用方法でも、全く問題ございません』
・『専務から、プロジェクトは順調かと聞かれたので、計画通りで問題ございませんと答えました』
・『取引先から、納期は予定通り可能ですかと、問い合わせがあったので、全く遅れはございませんと返答しました』
「ないです」と「ございません」の違い
「ないです」は、「ないこと」を単刀直入に表現する言葉です。
丁寧語の「です」は付いていますが、広く使われている言葉のために、余り敬語表現だとは受け止められません。
単刀直入に「ないです」とするより、「ないこと」を否定形を使って、間接的に「ありません」と表現した方が、丁寧な言葉に感じられます。
さらに「ありません」の敬語表現が「ございません」なので、「ないです」よりも「ございません」の方がはるかに強い敬意が感じられます。
従って、ビジネスシーンなどで、目上の人や取引先に対して使用する言葉としては「ございません」が非常に適切だと言えます。
まとめ
「ないです」は、「ないこと」を表現する言葉で、丁寧語の「です」が付いています。
しかし「ないです」は一般的に広く使われており、敬語表現だとは余り受け止められません。
それよりも「ありません」と否定形を使い「ないこと」を間接的に表現する方が丁寧に聞こえます。
その「ありません」の敬語表現が「ございません」なので、上司や目上の人や取引先の方には、「ございません」を使うのが、最も良いと言えます。