「お考えになる」と「拝察する」の違いとは?
ビジネスでの使い方や例文など分かりやすく解説していきます。
「お考えになる」とは?
「お考えになる」は「考える」を尊敬語で表現したものです。
上司などの目上の人が「考える」場合に、敬意を含んで表現するために「お考えになる」という言葉を使います。
他には「考えられる」という敬語表現もあります。
どちらを使っても誤りではありません。
しかし、「考えられる」を使う場合には、受動表現と混同しやすいというデメリットに留意しましょう。
「拝察する」とは?
「拝察する」も「考える」を意味する言葉です。
しかし、「拝」という漢字には「おがむ、ありがたがる」などの意味があります。
そのため「拝察する」は、「考える」をへりくだって表現した謙譲語だと言えるのです。
この言葉は、自分が考えることを表現して使います。
目上の人に対する敬意を表すために、自分の行動を「拝察する」とへりくだるのです。
「お考えになる」と「拝察する」の違い
それでは「お考えになる」と「拝察する」の違いを考えてみましょう。
「お考えになる」と「拝察する」は同じ意味の言葉です。
どちらも「考える」の意味を持ちます。
そして、相手が考える場合には「お考えになる」と表現します。
これにより、相手の行為に敬意を示すのです。
いっぽう、自分が考える場合には「拝察する」と表現します。
これにより、自分の行為を低め、間接的に相手に敬意を示すのです。
このことから、どちらの言葉も、相手に敬意を示すために使われることが分かります。
しかし、その示し方が直接的か間接的かで、選択される言葉が変わってくるのです。
「お考えになる」の例文
まずは「お考えになる」の例文を挙げてみましょう。
相手が考える場合に使用する言葉である点に、注意して使うとよいと言えます。
・『お考えになるほどのことではないと存じます』
・『方針をお考えになるには、材料が不足しております』
・『お考えになるのが遅かったようです』
・『対策をお考えになるべきではないでしょうか』
「拝察する」の例文
つぎに「拝察する」の例文を挙げてみましょう。
自分が考える場合に使用する言葉である点に、注意して使うとよいと言えます。
・『私が拝察するのは恐縮ですが』
・『私が拝察するまでもございませんが』
・『明日まで拝察するようにいたします』
・『拝察するにはヒントが足りません』
まとめ
このように「お考えになる」と「拝察する」は、どちらも「考える」を意味する言葉です。
しかし直接的な表現である尊敬語として使うか、間接的な表現である謙譲語として使うかによって、選択すべき言葉が変わってくるのです。