「先立ちまして」と「先駆けまして」の違いとは?
ビジネスでの使い方や例文などを交えながら、分かりやすく解説していきたいと思います。
「先立ちまして」とは?
はじめに「先立ちまして」について解説していきます。
「先立つ」は文字通り「先に立つ」ことを示す言葉です。
これは「何かに先行する」という意味を持ち、それを敬語表現することで「先立ちまして」としているのです。
ビジネスでも「開会に先立ちまして」などの用法でよく使用されます。
何かの前段に説明を挟む場面などで、広く使用されている表現の一つと言えるでしょう。
「先駆けまして」とは?
つぎに「先駆けまして」についてです。
「先駆ける」は「先に駆ける」から来ています。
これは「先行する」を意味しています。
「先立ちまして」と同様に、「まして」により敬語表現がされています。
このことから、単純に意訳するのであれば「先立ちまして」と同じ意味になります。
こちらも、ビジネスでよく使われる表現です。
例えば「B社に先駆けまして、新製品の開発を完了しました」などの用法で使用されます。
「先立ちまして」と「先駆けまして」の違い
それでは「先立ちまして」と「先駆けまして」の違いはどこにあるでしょうか。
「先立つ」は時間軸や日付軸に対して先行する場面で使われる表現です。
そのため、司会進行などでよく耳にする言葉でもあります。
一方の「先駆ける」は「先駆けとなる人物」や「先駆けとなる発見」など、世間よりも早いことに価値がある事物に対して使用するのが一般的です。
逆に言えば、「先立つ」のような時間や計画に対してはあまり使用しません。
このように、同じような使い方ができる二つの言葉のため、誤用している場面もよく見かけます。
しかし、実は対象により明確に使い分けるべき言葉ですので、しっかり把握しておく必要があるのです。
「先立ちまして」の例文
ここでは「先立ちまして」の例文を挙げていきます。
主に時間軸やカレンダー軸の物事に対して使用するとおさまりがよいでしょう。
・『開会に先立ちまして』
・『来期の計画に先立ちまして』
・『来月の開催に先立ちまして』
・『大型契約の締結に先立ちまして』
「先駆けまして」の例文
ここでは「先駆けまして」の例文を挙げていきます。
例文から分かる通り、使用方法は「先立ちまして」と同様です。
しかし、指し示す対象が異なることが分かるはずです。
ここでは「先駆的」な意味でフィットする物事に使用すると、違和感なく使用できます。
・『世間に先駆けまして』
・『世界に先駆けまして』
・『国内研究に先駆けまして』
・『音楽業界に先駆けまして』
まとめ
このように「先立ちまして」と「先駆けまして」は同じような場面で、同じように使用できる言葉です。
しかし、その指し示す対象は異なる種類のものなのです。
これらの違いに気を付けて使用しないと、相手に違和感を与えることになるので、十分に注意しましょう。