「異存なし」と「異議なし」は共に反対意見がないことを表しますが、どのような点が違うのでしょうか。
「異存なし」とは?
「異存なし」【いぞんなし】は、相手の提案や意見に対し「反対や不服がない」「同意する」という意思を伝える言葉です。
「異存」とは「異なる考え」のことです。
「異存なし」とは「異なる考え」が「なし=存在しない」ということ、つまり「反対意見や不服がないこと」を表しています。
逆の言い方をすれば「同意する」「賛意する」ということになります。
「異存なし」の使い方
「異存なし」は、同意していることを相手にはっきり伝える言葉です。
ビジネスシーンにおいて相手から提示された提案や意見に対し、反対意見がないとき、内容に問題がないと感じたときに用います。
ビジネスシーンでは敬語を使って「異存ありません」「異存はございません」と丁寧な言い方をしましょう。
一例として『君の意見に異存はない』『ご提案に異存はございません』のような使い方をします。
また「異存はございません」は、同意したことを表す「承知いたしました」「さようでございます」と言い換えることもできます。
「異議なし」とは?
「異議なし」【いぎなし】は、会議などに挙がっている提案や意見に対し、内容に賛成することを伝える言葉です。
「異議」とは「意見が異なる」ことです。
つまり「異議なし」は意見に異なるところがない、言い換えると「その意見に賛成する」ということになります。
また、漢字の「議」は話し合いや相談ごとを意味し「会議」や「議案」などに関連します。
つまり「異議なし」は、話し合って物事を決めることに用いられ、「話し合いの内容に賛成できること」を示す言葉になっているのです。
「異議なし」の使い方
「異議なし」は、会議、提案書や意見書に挙がっている意見などに対し、その内容に不服や反対が一切ないことを述べるときに用います。
議会や株主総会などで用いる言葉なのでビジネスシーン以外で使うことはないでしょう。
「異議なし」は提案や意見に強く賛成することを表明する言葉であり、そのまま発言したり書面に記載したりすることができます。
もし丁寧な言い方をするならば「異議はありません」または「異論はありません」と言い換えることも可能です。
「異論なし」と「異議なし」の違い
「異論なし」と「異議なし」はどちらも、ビジネスシーンにおいて反対意見がないことを表明する言葉ですが、使われる場面が異なります。
「異論なし」は、先方の提案や意見に不服がなく同意することを伝えるときに使います。
その点は「異議なし」も同じなのですが、その対象が会議の内容や組織における取り決めに限定されるところが「異論なし」と大きく異なっています。
また「異議なし」は賛成の意を明確に伝える効力があり、敬語に変換せずそのまま使えるところも「異論なし」との違いといえます。
まとめ
「異存なし」と「異議なし」の意味はほとんど同じのように見えますが、ニュアンスや使ってよい場面が異なっています。
意味の違いや使い分け方を正しく把握しておきましょう。