「伝える」と「申し伝える」はどちらも「何かを知らせる」という意味を含む言葉ですが、意味合いが異なるため使い分けが必要です。
この記事では、「伝える」と「申し伝える」の違いを分かりやすく説明していきます。
「伝える」とは?
「伝える」は「つたえる」と読む言葉で、「何かを言葉などで伝達する」や「知らせる」などの意味があります。
また、「特定の物事を伝承して次代に受け継ぐ」という意味や、「物品などを他の場所から持って来る」、「音または熱などが一方から他方へ移動する際に仲介する」といった意味でも使用されています。
「申し伝える」とは?
「申し伝える」は「もうしつたえる」と読む言葉で、「取り次いで申し上げる」という意味を持ち合わせており、「言い伝える」の謙譲語としても知られています。
謙譲語は「へりくだった言い方をすることで相手への敬意を表現する言葉」のことで、「申し伝える」の場合は「目上の人からの伝言を自分の身内や同僚などに言い伝える」際に使用します。
「伝える」と「申し伝える」の違い
「伝える」と「申し伝える」は双方とも「知らせる」という意味を含みますが、詳細な意味合いに相違点があります。
「伝える」は「言葉などで何かを伝達する、知らせる」という意味のほかに「受け継ぐ」や「物品などを他の場所から持ち込む」、「音や熱などが移動する際に仲立ちする」などの意味も持っています。
一方、「申し伝える」は「取り次いで申し上げる」という意味があり、「言い伝える」の謙譲表現であることから、主として「目上の人から聞いた伝言を身内や同僚などに言い伝える」際に用いられます。
「伝える」の例文
「伝える」は「言葉などで知らせる」という意味以外に、「伝授する」や「他の場所から持って来る」、「音や熱などが移動する際に仲介する」などの意味でも使用され、日常生活の幅広い場面で目にする機会が多い言葉となっています。
・『お世話になった恩師に手紙を書いてお礼の気持ちを伝えた』
・『その祭りは昔の農民生活を現在に伝える役割を担っている』
・『ポルトガル人は鉄砲と共にパンを日本に伝えた』
・『銀やアルミニウム、銅などの金属は熱を伝えやすいといわれている』
「申し伝える」の例文
「申し伝える」は「言い伝える」の謙譲表現にあたり、「目上にあたる人物からの伝言を自分の身内や同僚などに知らせる」状況で用いられており、特にビジネスシーンにおける電話応対やメールなどの場面で使用されています。
・『承知いたしました。Aが戻り次第申し伝えます』
・『お問い合わせの件につきましては、わたくしから担当者に申し伝えておきます』
・『お客様からご要望につきましては責任者に申し伝えておきます』
・『お電話をいただきましたことをBに申し伝えます』
まとめ
「伝える」は「知らせる」のほかにも様々な意味がある言葉で、「申し伝える」は「言い伝える」の謙譲表現でへりくだって相手を敬う場面で使用する言葉です。
ぜひ参考にして両者の違いや使い方を学び、適切に使い分けてください。