ビジネスでは「ご足労いただけますでしょうか」という言葉を耳にすることがあります。
この言葉には、どのような意味が含まれているのでしょうか。
注意すべき使用法とともに解説していきます。
「ご足労いただけますでしょうか」とは?
そもそも「ご足労」には、どのような意味があるのでしょうか。
「足労」と単品で利用することがないのでピンとこないですが、目上の人の来訪に感謝の意を意味する言葉です。
そのため、「足労」という単語そのものに尊敬の念が含まれており「ご足労」と接頭語が付いた形でのみ利用されるものです。
「ご足労いただけますでしょうか」の使うときの注意点
「ご足労いただけますでしょうか」を使うときには注意点があります。
これは「ご足労」に「手間をかけて来訪する」というニュアンスがあるためです。
相手が来訪の意思を表明する前から「ご足労いただけますでしょうか」という表現を使うのは避けるべきです。
なぜなら、手間がかかる来訪を強要しているようにもとられるからです。
そのため、利用する場合は、相手が訪問の意思を表明した後に、もしくは実際に訪問した後に「ご足労いただき、ありがとうございます」などと感謝を述べる場合に利用するべきです。
「ご足労いただけますでしょうか」を使った例文
「ご足労いただけますでしょうか」を使った例文を挙げます。
このようなケースでは、丁寧な表現をしているにも関わらず、失礼なニュアンスを含みます。
相手がまだ未実施の行動に対して、苦労することを予測させるためです。
・『明日の7時までに、ご足労いただけますでしょうか』
・『それではまた明日、ご足労いただけますでしょうか』
・『当社の別館まで、ご足労いただけますでしょうか』
「ご足労いただけますでしょうか」の類語や敬語での言いかえ
それでは「ご足労いただけますでしょうか」の類似表現や敬語表現にはどのようなものがあるかうぃお解説します。
「ご足労いただけますでしょうか」の類似表現
類似表現としては素直に「来訪いただけますでしょうか」や「訪問いただくことは可能でしょうか」という表現を使うほうが自然と言えます。
聞きなれないからといって、「ご足労」を使って誤用のリスクをとる必要はないのです。
「ご足労いただけますでしょうか」の敬語表現
また、「ご足労いただけますでしょうか」を敬語表現にするにはどうすればよいのでしょうか。
この表現自体が丁寧な表現ではありますが、さらに丁寧にする場合は、相手に判断を問う質問系を避けるべきです。
たとえば自分の意思のみを伝える「ご足労いただければと存じます」などがスマートな表現と言えます。
まとめ
このように何気なく使っている「ご足労」という言葉には、言葉の中に隠されたニュアンスがあります。
そのため、相手にとって失礼のないような用法や文脈で利用する必要があります。
安易に使って恥をかかないように、気を付けたい言葉の1つとも言えます。