「矯めつ眇めつ」とはどのような意味を持つ慣用句なのでしょうか。
今回は、「矯めつ眇めつ」の意味と類語を紹介します。
「矯めつ眇めつ」とは?
「矯めつ眇めつ」とは、「あらゆる方向やさまざまな方法で物事を見ること」を意味する言葉です。
「矯めつ眇めつ」の使い方や使われ方、使うときの注意点
「矯めつ眇めつ」とは「矯める」と「眇める」と完了の助動詞「つ」から成る言葉です。
「矯める」は文語形「矯む」の形で使われていますが意味は同じで「じっと見る」ことを表しています。
本来の「矯める」には「片目をつむって狙いをつける」という意味がありますが正確に狙う様子から「本質を見極めるためにじっと見る」という意味合いで使われます。
「眇める」には「片目を細めてみる」という意味を持つ言葉です。
細かい部分を見たり一点に注目したりするときには片目をつむって集中すると同時に目を細めて焦点を狭めますが、そのような動作が「眇める」です。
鑑定士が真贋を見極めようと細部を確かめるときや時計職人が細かい部品を集中して見るときなどの様子が「眇める」に当たります。
「矯めつ眇めつ」に二度登場する「つ」は完了の助動詞です。
繰り返して使う場合はそれぞれの動作を完了させながら連続する様子を表します。
「矯めつ眇めつ」をそのまま解釈すると「じっと見たり目を細めて集中してみたり」という意味になります。
具体的な動作ではなくあくまでもそのような様子で見ていること、つまり「いろいろな方向から見たり方法を変えたりして見ること」を表します。
もっと簡単に言うと「一つの見方ではなくいろいろな見方で見ること」が「矯めつ眇めつ」の表す意味合いです。
「矯めつ眇めつ」は一般的に「一つの見方だけでは納得できずあらゆる方法で見てみること」を指します。
来歴不明の骨董品を鑑定するときはいろいろな箇所に注目したり虫眼鏡を使ったり明るい場所に移してチェックしたりなど、さまざまな見方を試して本物かどうか目利きを行います。
そのような「いろいろな方法で見ること」を指す言葉が「矯めつ眇めつ」です。
「矯めつ眇めつ」を使った例文
・『古びた壺を矯めつ眇めつ眺めている』
・『矯めつ眇めつ確かめてみたがなんと書いてあるのかまったくわからない』
・『学者たちは発掘品を矯めつ眇めつしながら何に使う道具なのか議論している』
「矯めつ眇めつ」の類語や言いかえ
・手を変え品を変え
「いろいろな方法を試すこと」を意味する言葉です。
「矯めつ眇めつ」はものの見方や眺め方など目で見る動作のみに使われる言葉であるのに対し、こちらは具体的な鑑賞や手出しについて色々やってみることを表します。
・上から下から見る
「一つの物事をあちこちの方向から見ること」を意味する言葉です。
通常ありえない一般的ではない角度から見ることを表しており、強い興味を持って物事を見る様子を指します。
まとめ
「矯めつ眇めつ」はやや古風な言い回しですが強い興味や関心を持って物事を見る様子を端的に亜らわす慣用句です。
手にとって品物を見る動作以外にも近づいてみたりあれコテ思いを巡らせたりといったニュアンスも含まれるので、言葉の意味をきちんと理解して使いましょう。