「いらっしゃる」と「参る」の違いとは?
ビジネスでの使い方や例文などを交えながら、分かりやすく解説していきます。
「いらっしゃる」とは?
「いらっしゃる」は、広い意味を持つ言葉です。
「来る」の敬語として使用されることが多いですが、他にも「行く」、「いる」、「ある」などの意味で使用されます。
そのため、使い方によって意味する内容が変化します。
これは、逆に言えば誤解を与えやすい言葉だとも言えます。
たとえば、「こちらにいらっしゃる」とだけ表現した場合は、「来る」を意味するのか、「いる」を意味するのかが分からないのです。
「参る」とは?
「参る」は、「行く」を意味する謙譲語です。
これは、自分の行動をへりくだって表現することで、間接的に相手に敬意を示す手法と言えます。
この「参る」も、複数の意味で使用できる言葉です。
他には「来る」の意味で使用できますし、「~してくる」や「~していく」の意味でも使用できます。
そのため、「いらっしゃる」同様に、誤解を招く可能性が高く、その分だけ汎用性が高いという特性があるのです。
「いらっしゃる」と「参る」の違い
それでは「いらっしゃる」と「参る」の違いはどこにあるでしょうか。
二つの言葉は、いずれも広い範囲を示すものです。
そして、そのカバーする範囲も似ていると言えるでしょう。
しかし、「いらっしゃる」は敬語表現であり、「参る」は謙譲表現なのです。
そのため、「いらっしゃる」は相手の行動に使い、「参る」は自分の行動に使うものと言えます。
行動の主体が誰であれかによって、同じ敬語表現でも、違う言葉を選択して使う必要があるのです。
「いらっしゃる」の例文
ここでは「いらっしゃる」の例文を挙げていきます。
「行く」や「来る」などを示す敬語として理解すると、正しく使用できるはずです。
・『明日は当社にいらっしゃる予定です』
・『明日の午後であれば、オフィスにいらっしゃるはずです』
・『今も、ご在任でいらっしゃるはずです』
・『どちらにいらっしゃるのでしょうか』
「参る」の例文
ここでは「参る」の例文を挙げていきます。
「行く」や「来る」を示す謙譲語として理解すると、正しく使用できるはずです。
・『明日の午後には、そちらに参る予定です』
・『私が参るまで、お待ちくださいますでしょうか』
・『資料を持って参るまで、しばしお待ちください』
・『お品物を持って参るので、一時離席いたします』
まとめ
このように「いらっしゃる」と「参る」は、どちらも「行く」や「来る」を意味する言葉です。
しかし、「いらっしゃる」は敬語表現のため、相手に対して使うものです。
そして、「参る」は謙譲語表現なので、自分に対して使うものなのです。
このように、同じ意味でも使い方が異なる言葉ですので、その使い方には十分配慮が必要だと言えます。