「可及的速やかに」「かきゅうてきすみやかに」は日常であまり聞かない表現ですが公的な文書などでは時折使われます。
使用するうえで注意すべき点もあります。
「可及的速やかに」とは?意味
「可及的速やかに」とは「可能な限り早く、できるだけ早く」という意味です。
何よりも最優先に、という意味ではありません。
同じ「かきゅう」という読みで「火急」という言葉もありますが、こちらは火が広まるほどの「緊急性のある早さ」を表わします。
「火急の事態」などと使い「可及的速やかに」とは意味が違います。
「可及的速やかに」の言葉の使い方や使われ方、使うときの注意点
「可及的速やかに」という表現は公的な文書や医療機関、政治家の答弁などで使用されるやや硬めの表現です。
また、使い方に注意が必要な表現でもあります。
「できるだけ急いで」という意味なので目上の方に使うと失礼にあたる可能性があるからです。
そのため「可及的速やかに」という表現は自分側の行動に対してのみ使用するのが一般的です。
いずれにせよ相手に急いで欲しい時には、文頭に「多忙とは存じますが」などのクッションとなる表現をつけたり、文末を「できれば早めの連絡をお願いできますでしょうか」など柔らかい表現にするのが無難です。
「可及的速やかに」を使った例文
・『その件に関しましては可及的速やかに対応いたします』
できるだけ早めに対応します、という意味になります。
・『数件のクレームが入っているので、可及的速やかに対処する必要があります』
できるだけ早く行動するのは自分サイド、つまり自分が所属する会社や部署も含まれます。
この例文では自分たちサイドのできるだけ早い対処が必要だ、という意味になります。
・『可及的速やかに報告するように。了解いたしました。確認できしだい早急に報告いたします』
上司など目上の方からまれに例文のような要請が入る可能性もあります。
意味としては「大至急ではない」というニュアンスが含まれますが、返答するならやはりできるだけ急いで行動する意思を表わした方が無難です。
いつまでに対応できるのか期限を明確に返答するのも効果的です。
「可及的速やかに」の類似表現
・「直ちに」【ただちに】
「直ちに」は「なるべく最優先で」という意味です。
「可及的速やかに」よりも早い行動が必要になります。
上司から「直ちに」と要請があった場合は最優先で対応するのが無難です。
・「大至急」や「至急」
「直ちに」ほど早くはないものの「可及的速やかに」よりは早い対応が必要になります。
また、この「大至急」や「至急」も目上の方には使用しない表現です。
・「早急に」
「早急に」は「さっきゅうに」が正確な読みですが、最近は「そうきゅうに」と読む方が増えたためどちらの読み方でも良いことになっています。
優先度は「直ちに」や「至急」ほどではないにせよ、「可及的速やかに」よりは早めの対応が求められる表現です。
・「迅速に」【じんそくに】
「迅速に」も早くという意味で、「早急に」と同程度の早さを表わします。
・「遅滞なく」【ちたいなく】
「遅滞なく」は遅れやとどこおりがない、という意味です。
期限までに終わらせるように、というニュアンスになり、それほど早さは求められません。
まとめ
「可及的速やかに」という表現は自分側の行動に対して使用する、という注意点を把握しておく必要があります。
早い行動を求めたり、自分が早めに対応するつもりであることを伝えたりする機会は多くあります。
言葉の温度感を把握して、適切に使いこなしてください。