「無理を聞く」という慣用句ですが、どんな意味や使い方があるのでしょうか?
この記事では、「無理を聞く」の意味を分かりやすく説明していきます。
「無理を聞く」とは?
「無理を聞く」とは、主にビジネスメールなどで、相手へのお礼を綴った文面に使用される慣用句です。
「ご無理を聞いていただき、ありがとうございました」や「ご無理を聞いていただきましたこと、心より御礼申し上げます」などのような形で用いられています。
「無理」の意味とは?
「無理」という言葉には以下の意味が含まれます。
・物事の筋が通っておらず、道理に適っていないことやその様。
・現実的ではないことや実現するのが難しいこと。
・何かを強いて行うことや道理に適っていないことを押し切って行うこと。
相手へのお礼を述べる際の慣用句である「無理を聞く」ですが、ここでの「無理」とは「無理な頼み事やお願い」=「大変な頼み事やお願い」のことを指しています。
「無理を聞く」の使い方
先述したように、「無理を聞く」はビジネスメールなどで相手へのお礼を綴った文面に使用される慣用句です。
したがって、「無理を聞く」という形で使われることはなく、「ご無理を聞いていただき」や「ご無理を聞いていただきましたこと」のように尊敬語の形で使われます。
また、「無理を聞く」はあくまでも「(こちらからの)無理な頼み事を聞いた」場合など、相手の行動に対してのみ使われる慣用句です。
そのため、逆に「(こちらが)相手からの無理な頼み事を聞いた」場合などに、自分の行動として「無理を聞く」という表現はされません。
「ご無理を聞いていただく」という敬語表現ですが、「ご無理」とは「無理」に尊敬の接頭辞「ご/お(=御)」をつけて尊敬語の形にしたものです。
「無理」は相手の行動を指しているので、ここでの接頭辞「ご」は相手に対する尊敬を表しています。
「聞いていただく」は「聞いてもらう」を謙譲語にした言葉です。
「ご無理を聞いていただく」を使った例文
・『この度はご多忙のところ、ご無理を聞いていただき、ありがとうございました』
・『お忙しい中、ご無理を聞いていただきましたこと、心より御礼申し上げます』
無理がきく?
「無理を聞く」に似ている慣用句に「無理が利(き)く」という言葉があります。
「無理が利く」とは、「無理をしても大丈夫なこと」や「無理な使い方をしても大丈夫なこと」を意味する慣用句です。
『運動部で鍛えていたので、多少は無理が効く』や『最近、歳のせいか、若い頃のように体に無理が利かなくなった』というような使い方がされています。
まとめ
「無理を聞く」とは、主にビジネスメールなどで相手へのお礼を綴った文面で使用される慣用句であり、「ご無理を聞いていただき」や「ご無理を聞いていただきましたこと」のように尊敬語の形で使われます。
尊敬語の形で使われることからも分かるように、あくまで「(こちらからの)無理な頼み事を聞いた」という相手の行動に対してのみ使用されるので、逆に「(こちらが)相手からの無理な頼み事を聞いた」という自分の行動に対して、「無理を聞く」と使用することはできないので注意しましょう。