この記事では、「冥土の土産」という言葉についての意味、使い方や注意点、例文や言い換えについて詳しく解説していきます。
「冥土の土産」とは?
「冥土」は「めいど」と読みます。
「冥土」は、「死後に行くとされている世界」を指しています。
元々は仏教の言葉ですが、長い歴史の中で日常的に使われるようになりました。
「土産」は「みやげ」と読みます。
「土産」は「その土地の産物を持ち帰る」という意味から転じて、「人に贈り物として、あるいは、家に持ち帰るために用意した、旅先などで見定めた品物」という意味合いになります。
つまり、「冥土の土産」は、「生きているこの世から、死後の世界に持っていくための、見定めた品物」という意味の言葉です。
「冥土の土産」の使い方や使われ方、使うときの注意点
人は、「生」を与えられたからには、必ず「死」の瞬間が訪れます。
その「死」を迎えるにあたって、この世に生きた証しとして、あるいは、この世でしあわせに生きた思い出として、死後の世界にまで持っていきたい品物、あるいは記憶を指して、「冥土の土産」という言葉遣います。
「冥土の土産」は、その人にとって「何物にも代えがたい特別なこと」が選ばれます。
また、品物が選ばれることもありますが、「夢や思い出」といった、心に刻まれた「しあわせの瞬間」である場合が多いようです。
「冥土の土産」を使った例文
・『孫や家族に囲まれた賑やかな誕生日を迎えられて、冥土の土産になった』
・『この歳になって、ゴルフコンペで優勝できるなんて、冥土の土産になった』
・『先立った妻との、思い出の新婚旅行の写真が冥土の土産だ』
この世に生きた証し。
思い出、しあわせの瞬間、大切な写真。
どれも、その人にとって「特別な価値や記憶」です。
その人の人生が凝縮された瞬間を土産に選ぶのが、真情というものでしょう。
「冥土の土産」の類語や言いかえ
・『あの世に持っていく』
「あの世」は、「冥土」と同じく死後の世界を指した言葉です。
例えば、お葬式で、最後のお別れの時、棺桶に思い出の品物などを入れてあげることも多いでしょう。
家族写真、いつも着ていた服、大切にしていたアイテムなど、「あの世に持って行って、安らかに過ごしてほしい」という思いが込められたシーンです。
ですから、一緒に持っていくのは「思いや記憶」というニュアンスとも受け取れます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「冥土の土産」は、「この世に生きた証しとして、あの世に持っていくことで、その思い出や記憶とともに、安らかな時を過ごしたい、あるいは過ごしてほしい」という願いや祈りが込められた言葉であることが分かりました。
同じく仏教の言葉で、「人の死が不幸であるならば、どんなに幸せに生きた人も不幸で終えることになってしまう」ということわざがあります。
しあわせに生きた瞬間を胸に抱いて、冥土に旅立っていきたいという願いは、誰にでもあるのかも知れません。
しあわせに生きて、しあわせに人生を終えるのは、人の永遠のテーマなのでしょう。