慣用句として使われる「分水嶺」はどんな意味を持つ言葉なのでしょうか。
今回は、「分水嶺」の意味と類似表現について解説します。
「分水嶺」とは?
「分水嶺」とは、「物事の行方を左右する大事な分かれ目」を意味する言葉です。
「分水嶺」の使い方や使われ方、使うときの注意点
「分水嶺」のもともとの意味は「流れる水の分かれ目」です。
空から地上に降る雨は標高の高い山などに最初に降り注ぎます。
山に降り注いだ雨は山肌をつたうように流れていきますが、振った雨がどの方向に流れるのかは自然が作り出す地形によって決まります。
上から下へ流れるのは同じでも山の北側と南側どちらに流れていくのかは自然の地形によって決まっているため地形が変わると水の流れも大きく変化します。
このような「自然状態にある雨水の流れる方向が湧かれる分かれ目」が「分水嶺」です。
「分水嶺」によって区分される流れる水の境目を「分水界」といいますが、分水界により水の供給量が大きく変わり農作などにも強く影響することから「分水嶺」はとても重要な意味を持ちます。
本来葉水の分かれ目を意味する「分水嶺」ですが、そこから転じて「物事の分かれ目」という意味を持つ慣用句として使われています。
ある物事の結果次第でその後が大きく変わるような決定的な分かれ目が「分水嶺」であり成功するかどうかで会社の命運が決まる契約や高額賞金をかけた勝負事など「未来に強い影響を与える出来事」が「分水嶺」です。
「分水嶺」には事前にそうであるとわかっている場合と後から振り返ってそうだったと気づく場合のふたつに分けられます。
スポーツの試合などは誰から見ても重要であることがわかり未来に強く影響することが明白ですが、現実的にそこまではっきりと重要であることがわからないケースもよくあります。
軽い気持ちでいった一言が未来に重要な影響を与えていたなど、その時は重要だと思っていたが後々になって考えてみるとあそこが大きな分かれ目だったと気づく形で「分水嶺」が分かることもあります。
水の流れる方向が湧かれるように未来の可能性が大きく分かれる節目が「分水嶺」です。
「分水嶺」を使った例文
・『契約交渉がまとまるかどうかが我が社にとっての分水嶺になる』
・『あの時点で新製品を投入出来なかったのが分水嶺だったと今になって気付かされる』
・『日本経済にとって分水嶺となったのがバブル崩壊後に設定された財政健全化目標である』
・『軍事侵攻が分水嶺となり大国から発展途上国へと転がり落ちていった』
「分水嶺」の類語や言いかえ
・天王山
「運命を左右する重大な分かれ目」を意味する慣用句です。
明智光秀と羽柴秀吉が争った山崎の戦いの舞台であり天下を分けるような重大な勝負の地であったことに由来します。
・関ヶ原
「命運を決する勝負」を意味する言葉です。
徳川家康と石田三成が覇権を争った合戦「関が原の戦い」に由来する慣用句で、全てが決まる重要な局面を意味します。
まとめ
「分水嶺」はビジネスだけでなく日常生活でも比較的よく使われる慣用句です。
本来の意味と合わせて覚えておきましょう。