ビジネスでよく使われる「~になります」という表現はどのように使うのが正しいのでしょうか。
今回は、「~になります」の使い方と言い換えについて解説します。
「~になります」とは?
「~になります」とは、「断定の意味で使われるビジネス敬語」です。
「~になります」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
「~になります」という表現は断定を意味する助動詞「だ」「である」に敬意をこめた丁寧表現として使われているビジネス敬語の一種です。
ビジネス敬語とはビジネスの世界で生まれた敬語表現を指す言葉で、その多くは本来の文法的には正しくない表現です。
断定の意味をあらわす助動詞として「だ」「である」があります。
「これは水だ」「ここが入り口である」というように物事を断定するときに使われる言葉ですが、そのまま使うと失礼に当たることからビジネスの世界では丁寧な言い方として「~になります」という言い方をします。
ビジネス業界で生まれた「~になります」という言い方は接客業で耳にする機会が多いことから一般にも広まり新しい形の敬語として定着しつつありますが、本来は「だ」「である」の敬語は「~になります」ではなく「です」を使うのが正解です。
「~になります」は助詞の「に」、動詞の「なる」、尊敬をあらわす助動詞「ます」の3つの言葉から成り立っています。
動詞の「なる」は「大人になる」「春になる」など「変化の結果が出る」という意味の他に「ためになる」など「役割を果たす」という意味、「全十巻からなる大作」など「成立する」という意味があります。
どの意味を見ても「だ」「である」に該当する用法はなく「~になります」を「だ」「である」の敬意表現だとするのは間違いです。
なぜこのような御用が定着したのか。
仮説として挙げられるのが「成立」の意味合いです。
「こちらがハンバーグ定食になります」という言い方は本来「こちらがハンバーグ定食です」とするのが正しいとされています。
なぜこのような言い方がされるのか、一歩踏み込んで考えてみましょう。
ハンバーグ定食は単体ではなく御飯と味噌汁、メインのハンバーグと小鉢など複数の料理の組み合わせによって成り立っています。
どれかひとつでも欠ければハンバーグ定食が成立しなくなると考えれば「こちらが(御飯、味噌汁、ハンバーグ、小鉢の4つがそろった)ハンバーグ定食になります」という言い方は間違いではありません。
敬語として「これで十分とはいえないかも知れないが我々はこれを持って成立としている」というへりくだる意味合いから「~になります」が敬語として使われると考えると筋が通ります。
「~になります」を使った例文
・『こちらが参考資料になります』
・『520円のお釣りになります』
・『あちらのドアが入口になります』
「~になります」の返答や返信例
間違った表現であると指摘するのは逆にマナー違反です。
文脈で意味がわかるのならそのまま受け入れてください。
・『こちらがご予約の商品になります』『ありがとうございます』
・『お会計は8650円になります』『カード払いでお願いします』
まとめ
厳密に考えると正しくない敬語である「~になります」ですが、かなり広く浸透している用法でありいちいち指摘するのはビジネスマンとしてふさわしい態度ではありません。
自分が使うときに間違った使い方をしないよう注意するのはかまいませんが使われたときはこめられた敬意に配慮するのが正しい対応です。