みなさんは、ビジネスシーンにおいて、「諸事多忙の中とは存じますが」を使ったことはありますか?
今回は、この言葉の意味、使い方や注意点、言い換えについて、詳しく解説していきます。
「諸事多忙の中とは存じますが」とは?
「諸事」とは、「様々な事柄」という意味合いの言葉で、「しょじ」と読みます。
「多忙」は「することが多く忙しい様子」を表す言葉で「たぼう」と読みます。
「の中とは」で「〜のところだと」という意味になり、「存じますが」は「思いますが」の謙譲表現となることから、「諸事多忙の中とは存じますが」は、「あれこれと忙しくしているところだと思いますが」という意味合いの言葉と言えます。
「諸事多忙の中とは存じますが」の使い方や注意点
実は、「諸事多忙の中」という表現は慣用句として使われておらず、「多事多忙」という表現が正しい使い方となります。
「多事多忙」は、「取り組むべき物事が多くとても忙しい様子」を意味する四字熟語です。
ビジネスシーンにおいて、「多事多忙にてご連絡が遅れ申し訳ございませんでした」のように使われています。
「諸事多忙」と「多事多忙」の語感が類似していることから、誤った使い方をしているケースがあるようです。
「諸事多忙」という表現もニュアンスは分かりますが、慣用句としては使われないようです。
また、類語として「多事多端」という言葉あり、「たじたたん」と読みます。
「多端」には「物事の始まり」という意味があるため、年明けや新年度において、新しい事業や取り組みが盛んでとても忙しい時期によく使われる言葉です。
これらの類語や言い換えを理解して、誤用とならないよう注意したいところです。
「諸事多忙の中とは存じますが」の言い換え
・『多事多端の折、大変恐縮ですが』
・『ご多用の中とは存じますが』
・『ご多用のことと存じますが』
・『ご多忙中かと存じますが』
・『多事多忙の中とは存じますが』
「ご多忙」と「ご多用」はとてもよく似た言葉で、日常的にも多く使われていますが、「忙」の文字が「心」を「亡くす」で形成されることから、ビジネスシーンにおいては「ご多用」を使うことが良いとされています。
自身の忙しさを言い表す場合には「多忙」や「多事多忙」は問題ありませんが、相手に対して「忙」文字を多用するのは、控えたほうが良いかもしれません。
ですから、「多事多端」や「ご多用」が役に立つと言えます。
まとめ
いかがでしたか。
「諸事多忙の中とは存じますが」は、慣用句としては一般的ではない表現であることが分かります。
細かく見れば、諸事、多忙、多用、多事、多端など熟語として使われている言葉が類似するため、それぞれの言葉の意味と使い方を理解できれば、様々な場面に応じて上手く使い分けができることでしょう。