みなさんは、ビジネスシーンで「遺憾に存じます」という言葉を使ったことはありますか?
今回は、この言葉の意味、使い方と注意点、言い換えや言い回しについて詳しく解説していきます。
「遺憾に存じます」の意味とは?
「遺憾に存じます」は「いかんにぞんじます」と読みます。
「遺憾」は「残念に思うこと、心残り」という意味があり、「存じます」は「思う」という意味をへりくだった丁寧表現にした言い方です。
つまり「遺憾に存じます」は、「期待どおりにならず、残念で仕方ありません」という意味があり、丁寧表現の言い方の言葉です。
「遺憾に存じます」の使い方と注意点
不祥事や不正行為、事件などのニュース報道で、「誠に遺憾です」という言葉をよく耳にしますが、こういった印象から、「遺憾」は「謝罪や怒りの感情を表す言葉」と認識している人も多いのではないでしょうか。
実は、「遺憾」という言葉自体に謝罪や怒りといった意味はありません。
ですから、注意点としては、「遺憾に存じます」と述べただけでは、「残念でした」と伝えただけである、ということです。
では、正しい表現として言い換えや言い回しをどのように工夫すれば良いでしょうか。
「遺憾に存じます」の言い換え、言い回し
ビジネスシーンで、「遺憾に存じます」を使いこなすには、どのような言い換えや言い回し、敬語表現が相応しいか、いくつか例文を見ながら考えてみましょう。
・「お約束の納期が守られず貴社から製品が届かなかったことに対し、遺憾に存じます」
期日どおりに納品されなかったことについて、協力会社に原因と改善を求めるメールをした場面です。
ビジネスシーンにおいては、怒りの感情を露わにしたところで、問題の解決は何も前に進みません。
「遺憾である」とだけ伝え、今後の改善策や代替え案の提示を求めた方が合理的と言えます。
・「この度の不祥事、誠に遺憾です」
テレビやニュースでよく聞くフレーズです。
「今回の事件、まさかこんな事が起きるなんて、残念で仕方ない」と伝えている言葉です。
・「出荷直前だった野菜が今回の台風で売り物にならない、まさに痛恨の極みです」
手塩にかけて育てた農場の作物が、台風被害を受けてしまった場面。
農家にとって言葉にならないほど残念な思いです。
「遺憾」を「痛恨の極み」と言い換えて、悔しさをにじませているのが痛いほど伝わります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「遺憾に存じます」は、ニュースやビジネスシーンでよく使われています。
「遺憾」という言葉自体に、お詫びや怒りの表現は含まれていないことが分かりました。
もし、被害を与えてしまった立場であれば、この後に謝罪の言葉を続ける流れにします。
また、被害を受けてしまった立場であれば、この後に改善策を要求する言葉を続ける流れにします。
現代社会では、“映像から受ける印象”は言葉の認識にも影響しているケースがあります。
そういった“イメージからの思い込み”から、“正しい理解”に変えていく努力は、ビジネスパーソンにとって必要なことであると言えるでしょう。