「一考を投じる」という慣用句ですが、どのような意味を指しているのでしょうか?
この記事では、「一考を投じる」について分かりやすく説明していきます。
「一考(いっこう)を投(とう)じる」とは?
「一考を投じる」とは、「一度考えてみるように投げかけること」や「一度考えてみるように働きかけること」を意味する慣用句です。
「一考」とは、「一度考えてみること」を指す言葉です。
「投じる」には、「(物を)投げる」や「放る」、「つぎ込む」、「巧みに利用する」、「つけ入る」など多くの意味が含まれますが、ここでは「投げかける」=「相手に提起する」という意味を指しています。
したがって、「一考を投じる」とは、「一度考えてみることを相手へ提起する」という意味を指した慣用句と言えるでしょう。
「一考を投じる」の使い方
「一考を投じる」は、「○○は、人々に一考を投じた」や「多くの人々に一考を投じる○○」のように、きっかけとなる何かが周囲に一度よく考えさせることを促したときに用いられます。
「一考を投じる」を使った例文
・『彼の著作は、それまでの既存の考えに一考を投じることになった』
・『現代社会に一考を投じるために、彼女は社会運動を起こすことを決心した』
・『その著名人の発言は、世界中の人々に一考を投じた』
・『このムーブメントは、時代を越えてこの先の人々にも一考を投じるものになるだろう』
「一考を投じる」の類語
「一考を投じる」の他にも似たような慣用句があるので、ここで見ていきましょう。
「一考に値(あたい)する」
「一考に値する」とは、「一度考えてみるだけの価値がある」という意味を指す慣用句です。
「彼の発言は一考に値する」=「彼の発言は一度よく考えてみるだけの価値がある」や「この提案は一考に値する」=「この提案は一度よく精査するだけの価値がある」というように使用されています。
「一考の余地(よち)がある」
「一考の余地がある」とは、そのまま訳せば「一度考えてみるだけの余地がある」という意味になりますが、そこから転じて「もう少し考えを巡らせたほうがよい」、「もっと熟考したほうがよい」という意味で使われている慣用句です。
「このプランは一考の余地がある」=「このプランはもう少しよく考えたほうがよい」や「彼の企画は一考の余地があるようだ」=「彼の企画はもっと熟考する必要がありそうだ」というように使用されています。
「一石(いっせき)を投じる」
「一石を投じる」は「周囲に反響をもたらすようなことを投げかけること」を意味する慣用句です。
何かがきっかけとなり、周囲へ反響を呼ぶことを水たまりに石を投げ入れたときに波紋が周囲へ広がっていく様に例えています。
「彼女の発言は世間の人々に一石を投じた」=「彼女の発言は世間の人々に反響を与えた」というように使用されています。
まとめ
「一考を投じる」とは、「一度考えてみるように投げかけること」や「一度考えてみるように働きかけること」を意味する慣用句でした。
「一考を投じる」以外にも「一考」や「投じる」という表現を用いた慣用句は多くあります。
それぞれが指す意味をしっかりと把握し、正しく使い分けられるようにしましょう。