この記事では、ビジネスシーン等で誤った使い方をされることのある、「敗北を期す」について、その誤りポイントと、正しい表現やその使い方や言い換え等を分かりやすく説明します。
「敗北を期す」とは?意味
「敗北を期す」における「敗北」は、「勝負等に負けること」を意味する言葉で、また「期(き)す」は「期待すること」を意味する言葉です。
従って、この表現の文字通りに意味としては、「勝負に負けることを期待する」となります。
もちろん、何かの事情で、こうしたことを願うことも皆無ではないでしょうが、ビジネス等で慣用句として使われることはないと言えます。
すなわち、この表現は誤りであり、恐らくは「敗北を喫す」を間違って使われてものと推察されます。
正しい表現の「敗北を喫す」における「喫(きっ)す」は、「好ましくないことを、味わわせられること、体験させられること」を意味します。
従って「敗北を期す」は「負けを味わわせられること」の意味となり、負けたことに対して、悔しさが込められた表現になるのです。
また「期す」と勝敗を組み合わせた慣用句としては、「勝利を期す」なら正しい表現です。
意味は言うまでもないと思います。
以下の項では正しい表現の「敗北を喫す」に変更して、さらにこの言葉を掘り下げて、説明したいと思います。
「敗北を喫す」の使い方や使われ方、使うときの注意点
先に記載した通り、「敗北を期(き)す」は「敗北を喫(きっ)す」を間違って覚えられた結果です。
「勝利を期す」、「敗北を喫す」と正しく覚え、間違わぬようにしなければ大恥をかいてしまいます。
さて、「敗北を喫す」はスポーツの試合等で、勝てると思っていたのに負けてしまった際に、その残念な気持ちを込めて「負けたこと」を表現する言葉として使われる慣用句です。
ビジネスシーンでは、競合他社と競い合うことは常にあります。
例えば顧客にプレゼンをし受注を目指すコンペや、価格の入札や、同じような新製品でのシェア争い等が挙げられます。
こうした競合他社との競争に負けた際に、この「敗北を喫す」の慣用句が、しばしば使われます。
「敗北を喫す」を使った例文
・『自信を持って臨んだ顧客へのコンペで、A社に敗北を喫してしまった』
・『新製品のシェア争いでB社に敗北を喫する結果になってしまった』
・『敗北を喫してしまったが、次の機会には絶対に勝ってみせると誓った』
「敗北を喫す」の類語や言い換え
「敗北を喫す」の類語や言い換えとしては、「苦杯をなめる」「涙をのむ」「苦杯を喫す」等が挙げられます。
まとめ
本記事の主題の「敗北を期す」は、「敗北を喫す」の誤りと推察されます。
正しい慣用句の「敗北を喫す」は、「負けを味わわせられること」の意味で、負けたことに対して、悔しさが込められた表現です。