みなさんは、「同じ轍を踏まない」という言葉をご存じでしょうか。
この記事では、この言葉の意味や使い方、使う際の注意点、例文や言い換えについて、詳しく解説していきます。
「同じ轍を踏まない」とは?
「同じ轍を踏まない」は、「おなじてつをふまない」と読みます。
「轍」は、訓読みでは「わだち」、音読みでは「てつ」となります。
「轍」を「わだち」と読む場合、「車両や馬車などが通って出来た車輪の跡」という意味合いになります。
転じて、「先人たちが残した足跡、やり方や考え方」としたのが、「轍」を「てつ」と読んだ音読みの意味となります。
「同じわだちを通る」ということは、「先人が残した足跡をたどって行く」という意味として受け取ることが出来ます。
つまり、「同じ轍を踏まない」は、「先人が残したやり方や考え方に沿って進まない」という意味合いになります。
「同じ轍を踏まない」の使い方や使われ方、使うときの注意点
「轍を踏む」の、元々の意味合いには、「わだちを頼りに歩いていたら、その「わだち」にはまり転倒してしまった」、というニュアンスが含まれています。
このことから、「同じ轍を踏まない」を用いる必要性を考える時、単に「同じやり方や考え方を選択しない」理由に注目することで、この言葉の意味を深く理解することが出来ます。
なぜ、先人たちの残した「わだち」に沿って進む選択をしないのか。
それは、「上手くいかなかった経験」をなぞることになるからです。
何も考えずに、同じ「わだち」をなぞり、同じやり方考え方で取り組めば、楽に物事を進めることが出来るかも知れません。
しかし、それは目的の方向に確実に進んでいるとは限らないのです。
同じ失敗を繰り返さないためには、あえて「道をそれる選択が必要である」と言えます。
それは、自分自身で新たな道を切り開く、苦労の選択でもあります。
それが、「同じ轍を踏まない」の意味になります。
「同じ轍を踏まない」を使った例文
・『この研究の成功の鍵は、同じ轍を踏まないことにあるだろう』
・『平和を維持するためには、歴史を省みて同じ轍を踏まないことが肝心だ』
先人たちが残した経験や結果を踏まえて、この先どのように進めていけば良いのかの判断をしなければならない場面は多々あります。
「同じ失敗を繰り返さないように」というニュアンスを「同じ轍を踏まない」と表現していることが分かります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「同じ轍を踏まない」は、「先人に従わない」というニュアンスがあることが分かります。
しかし、それは単に「言う事を聞かない」という意味ではありません。
先人たちが残した「わだち」は、確かな足跡であり、研究や苦労の成果でもあります。
私たちは、その成果のおかげで迷わず進むことが出来ています。
その「わだち」に感謝しつつも、頼りきりになるのではなく、先人たちの苦労や失敗を生かすという意味で、時には自分たちの力で新しい道を切り開く努力が必要であることを「同じ轍を踏まない」が教えてくれています。