みなさんは、ビジネスシーンにおいて、「杞憂でしたらご放念ください」を使ったことはありますか?
今回は、この言葉の意味、使い方や注意点、言い換えについて、詳しく解説していきます。
「杞憂でしたらご放念ください」とは?
「杞憂」は「きゆう」と読みます。
「杞」という文字は、古代中国にあった小国の名前です。
「憂」は「うれい」という意味合いがあります。
古代中国の「杞」という国に伝わる故事からの言葉が「杞憂」で、「無用な心配、取り越し苦労」といった意味の言葉です。
「ご放念」は「ごほうねん」と読みます。
「放」と「念」との熟語で、「放」は「放す」、「念」は「思い、心」といった意味合いがあることから、「心配事を留めないこと、心に留めないこと」というニュアンスの言葉となります。
接頭語「ご」を付けた丁寧な表現で「ご放念」としているので、相手に対して伝えている言い方です。
つまり、「杞憂でしたらご放念ください」は、「無用な心配事であれば忘れてください」という意味合いを、相手に対して丁寧な言い方で伝えた言葉です。
「杞憂でしたらご放念ください」の使い方や注意点
「杞憂」という言葉は、古代中国の故事に由来します。
杞に住むある男が「いつか天が落ち、地が崩落し、我が身の置き場が無くなってしまう」ということを深く心配して夜も眠れず飲まず食わずとなってしまった、というエピソードがあったことから、「杞の国で起きた憂い」といったイメージが転化して「杞憂」となったようです。
ビジネスシーンでは、相手に対して大切なことを確認する機会が多いものです。
その際に、既に解決や改善が想定されるような物事についての話であった場合、「もしも、この心配事がすでに解決へと向かっているのであれば、特に気になさらずにお願いします」といったニュアンスを伝えた言葉が、「杞憂でしたらご放念ください」というわけです。
この言葉を使う上での注意点としては、目上の相手に使う場合の敬語表現に工夫が必要であることです。
「杞憂」は、それ自体は敬語ではないため、その後に続く言葉の言い方で敬語表現を工夫します。
例えば、「杞憂であれば何卒ご放念くださいますようお願い申し上げます」といった言い回しを用いると良いでしょう。
この一言で、無用な心配事を相手に伝えてしまったということに対する“お詫び”のニュアンスも含めることができます。
「杞憂でしたらご放念ください」の言い換え
・『杞憂であればご放念くださいませ』
・『すでに解決されていればご放念ください』
・『問題なければ無視して結構です』
・『解決済みでしたら問題ございません』
「杞憂」という一言で「無用な心配事」という意味合いを表現できるため、とても役立つ言葉です。
しかし、日常的な表現ではないため、聞きなれない言葉という印象を受ける人もいるでしょう。
相手の立場や状況に合わせて、言い換えを工夫できると良いでしょう。
まとめ
「杞憂でしたらご放念ください」は、「無用な心配であればどうぞ忘れてください」といったニュアンスを伝える言葉です。
ビジネスシーンでは、確認事はとても重要な工程のひとつです。
ひと手間であっても怠ることなく確認を取り、相手に対する“気遣いの言葉”として「杞憂でしたらご放念ください」をさりげなく使ってみてはいかがでしょうか。