みなさんは、ビジネスシーンにおいて、「そちらへ参上して見積もりをお渡し申し上げます」を使ったことはありますか?
今回は、この言葉の意味、使い方や注意点、言い換えについて、詳しく解説していきます。
「そちらへ参上して見積もりをお渡し申し上げます」とは?
「そちらへ参上」とは、目上の相手の所に行く際に使われる言葉で、「参上」は「行く」のへりくだった言い方です。
「見積もり」は、受注者が商品の価格やサービス範囲などの条件を発注者に提示する資料のことで、発注者が取引内容の検討や発注の是非を判断するためのものです。
「お渡し申し上げます」は、「渡す」に接頭語を付けて「お渡し」と丁寧表現にし、「言う」を「申し上げます」と謙譲表現にした言い方です。
つまり、「そちらへ参上して見積もりをお渡し申し上げます」は、見積もりの資料を相手に直接手渡ししたいため、相手を訪問する旨を伝えた言葉です。
「そちらへ参上して見積もりをお渡し申し上げます」の使い方や注意点
「そちらへ参上」は、「そちらに参ります」という意味合いを述べていますが、実は、「そちらへ参上」という表現は、訪問先の相手を立てた言い方とは限らず、「自分が行く」という行為を丁寧に述べた表現といえます。
見方を変えると、この話を見聞きしている“聞き手”に対して丁寧な伝え方をしたとも言えるわけです。
「そちらへ参上」は、最新の敬語分類では「謙譲語Ⅱ」として区別され、資料を渡す相手に直接伝える際には「参上」ではなく「謙譲語Ⅰ」の「伺う」が相応しいとされています。
「見積もりをお渡し申し上げます」は、丁寧な敬語表現として相手に失礼なく使うことができる言い回しです。
以上を踏まえると、「そちらへ参上して」のフレーズの表現の是非について判断が難しく、相手を敬う言い方として、別の言い換え表現を工夫する価値があることが分かります。
また、「自分が行く」ことを述べている「そちらへ参上して」には、「相手の都合」が配慮されていないことも注意点として挙げられるでしょう。
「そちらへ参上して見積もりをお渡し申し上げます」の言い換え
・『ご都合の良いお時間に、弊社からお伺いして、お見積もりを直接お渡ししてもよろしいでしょうか』
・『ご多忙のところ恐れ入りますが、弊社から直接お伺いして、お見積もりをお渡ししてもよろしいですか』
・『お手数をおかけしますが、弊社から直接お伺いして、お見積もりをお手渡しすることは可能でしょうか』
まずは、相手の立場や状況に配慮して都合を聞き、「お伺い」と表現することで相手を敬い、目的の「お見積もり」の資料を手渡ししたい旨を伝えた言い回しになっていることが分かります。
まとめ
いかがでしたか。
「そちらへ参上して見積もりをお渡し申し上げます」は、丁寧な敬語表現ではありますが、「そちらへ参上して」の捉え方によって、ニュアンスが変化することが分かります。